SEKAI NO OWARI『スノーマジックファンタジー』PVレヴュー

JR SKI SKIのCMでサビの部分だけ流れていて、耳馴染みもよく、気になっていました。

楽曲はマーチングパレードのような雰囲気で、大きめの打楽器のべースリズムが特徴的です。
また、SEKAI NO OWARIファンにはきっとおなじみのことなのだと思いますが、
ボーカルの歌い方に不必要な抑揚がなく、それがパレードの雰囲気にマッチしていると思いました。

この楽曲について、あえて歌詞について言及したいと思います。

わたしがこの曲がいいなと思ったきっかけはCMです。

CM部分で流れるのは、

スノーマジックファンタジー
雪の魔法にかけられて
僕は君に恋した
もしかして君は雪の……

あたりのみで、その後「全部、雪のせいだ」というスポットが挿入され、CMは終わります。

この、「全部、雪のせいだ」というスポットと、この歌詞が絶妙なバランスで、
15秒、30秒のCMとしてかなりクオリティの高いものになっていると思います。
わたしも雪山でかけっこして負けてデコピンされたいです。

サビの部分がとてもよくできているので、
この曲のメロディ部分はどうなっているのか?
という興味をもったのが、YouTubeを確認したきっかけです。

実際に楽曲を聞いてみると、 
メロディ部分に大きな特徴はない、というのが結論です。
サビをひきたてるためにメロディ部分にを大きく展開させない、というのは潔くて好感が持てると思いました。

しかし、メロディ部分の歌詞の内容は、かなりしっかり自己主張しています。

まず、一番の歌詞で、歌い手である主人公は「スノーランド」で生まれ育った「雪の妖精」に出会います。
サビの部分にある「もしかして君は雪の精」というのは、比喩でも何でもなく、本当に雪の精なのです。

この雪の精はスノーランドで生まれ育ったため、夏を見たことがありません。
夏を見るのがわたしの夢なの、と主人公に語るのですが、
一方で、この夢を叶えることを諦めてもいます。
その理由を、彼女は

でも良いの、この世界には知らないほうがロマンチックなこともたくさんあるのでしょう? 

と説明します。
これが一番です。

二番に入って、主人公と雪の精はより親しくなり、お互いのプライベートをより語り合うようになります。
そこで主人公はなんの気なしに彼女に年齢を尋ねます。
すると彼女はそれには答えず、物事の終わりに言及し始めます。

ねぇ、命はいずれ終わるものよ
貴方と私は終わりがくるの
なのに、なんで出逢ってしまったの?
貴方は「幸せ」と同時に「悲しみ」も運んできたわ
皮肉なものね

そして三番において、主人公は眠くなり、それは主人公の凍死を予感させるものになっています。

このような主人公と雪の精は、
ごくごく一般的な(具体性のない)男性と、
これまでずっと人の凍死の現場に立ち会い、人との別ればかりを経験してきて、それ以外のことは人づてに聞いたことでしか知らない女性という関係で描かれていて、
それは知識や経験の量はおそらく同じくらいだけれども、その質的な内容が根本的に異なる二人という設定になります。
コミュニケーション自体はおそらく日本語で行われているのでそこに齟齬はないが、
経験してきたことや常識がまったくことなる二人、しかもそこに自然や季節が密接に関与するという、
想像させられる絵面の美しいラブストーリーを想起させる設定です。 

しかし、このようにこの雪の精が決して超越的な存在として描かれているわけではないにもかかわらず、
主人公は三番において凍死してしまうという衝撃的な結末の物語で、
この「スノーマジックファンタジー」は、そんな物語が明快で明るいマーチングパレードの音楽に乗せて展開される楽曲である、ということになります。 

この楽曲の、ではPVの映像の方はどうかというと、
このような雪山の恋物語は一切描かれません。

雪の結晶のモチーフが申し訳程度に扱われるのみで、基本的には室内で、キモかわいいデザインの室内でマーチを展開する映像になっています。 
この部屋の雰囲気が、楽曲の明るさと歌詞の内容のファンタジックさのギャップを橋渡すものになっていることは言うまでもないことですが、
この映像の中で、特に二番の雪の精のセリフはフクロウが歌っています。

冒頭の「スノーマジックファンタジー……」というタイトルコールは、低い音で、これもフクロウがすることになっているのですが、
この部分では聴衆をファンタジーの世界への誘うものとしてフクロウが描かれ、
 二番では主人公と関わりを持つ雪の精としてフクロウが扱われます。

このフクロウが、
この曲と聴衆の関係
と、
雪の精と主人公の関係
を相似のものにするという機能を果たしていて、
それは、明るいけど物悲しい、幸せだけど悲しい、という矛盾を内包した関係を描き出しています。

 

うーん、CMでちょっと流れるのを聞いていただけのときは、こんな曲だと思ってなかったのに!
あのキュンキュンオーラは何処へ行ってしまったんでしょ。 

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です